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地球の目撃者 石川直樹


地球の目撃者Ⅳ / 眠れる氷の少女

○概要

【地球の目撃者】は写真家が地球の壮大な営みやイベント、過去の記憶(つまり遺跡など)を目撃しに行く番組です。第一作、二作は別のプロデューサーが担当、シリーズ三作から私が引き継ぎ今回が四作目となります。
今回の目撃者は石川直樹さん、35歳。冒険家としても知られ、過去エベレスト登頂撮影を二度成功させている若手人気写真家です。
目撃の舞台となるのは南米ユヤイヤコ山(6739m)。チリとアルゼンチンの国境にまたがるアンデス山脈の高峰です。
1999年、アメリカの高地考古学者ヨハン・ラインハルト氏がこの山の頂で三体のミイラを発掘しました。カパコチャというインカの儀式で生贄となった子供たちでした。自然条件がよく、奇跡的に極めて保存状態のよいミイラとして発見されたのです。この発見は日本ではあまり知られていませんが、世界的なニュースとなりました。
石川さんの第一の目的は彼らが発見された場所に今なお残るインカ遺跡を目撃すること。生贄の儀式に使用されたものです。標高6700メートル、これはまぎれもなく世界最高地点の考古学遺跡なのです。
子供たちのミイラと副葬品はアルゼンチン、サルタにある高地考古学博物館(MAAM)に展示されています。あまりに貴重なミイラであるため、一度に三体が公開されることはありません。定期的にローテーションを守り一体ずつの展示です。今回はドンセリャ(乙女)と名付けられた15歳の少女のミイラが展示されており、石川さんはこのミイラも目撃します。
さて、現場となるユヤイヤコ山の麓の町まで東京からの移動時間はおよそ48時間。これは南米を主戦場とする私にとってもちょっと記憶にないほど遠い距離です。そこから更に車で走ること7時間。ようやくユヤイヤコ登山のベースキャンプに到着します。しかし登山の専門家ではない私たち取材チームが石川さんに同行できるのはここベースキャンプの4900m地点まで。あとは石川さんと、一緒に登山する地元の考古学者クリスティアン氏にカメラを託します。
その撮影機材はというと、まずカメラはオールキャノンチームです。石川さんの使用機材が最新のEOS6D。その上石川さんをサポートしているキャノンから私たちも小型ハイビジョンカメラXA10を借りることができました。このカメラは今回のような全ての現場が標高3600m以上の高地というハードな条件にはぴったりでした。大型で重いカメラを使っていたら、カメラマンはすぐ高山病になっていたことでしょう。もう一台、アンデスの雄大な自然をとらえるため、更にミイラの保護のためまったく照明を使うことができない展示室の撮影用としてEOS5DMark3を使用しました。レンズはEF24mmF1.4。すばらしく明るくキレのいいレンズです。これも狙い通りの効果を発揮しました。三脚は新興メーカーBENROのS6。軽量ですがしっかりした扱い易い三脚セット。いいカメラがあって、いい三脚があればけっこう人生楽しいものです。
さて今回の企画ですが、偶然私が石川さんに会ったことから始まりました。ある人の紹介で、赤坂見附のバーkokageで飲んだのです。ここは知る人ぞ知る開高健先生ゆかりの店。その時山の話になり、私がユヤイヤコとミイラの話をしたところ、石川さんが『ぜひ登ってみたい』と応えてくれたのでした。まったく企画のタネなどどこに転がっているかわかりません。だから皆さん、人に会いましょう。バーに行きましょう。開高先生、ありがとうございました。

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