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9月, 2014の投稿を表示しています

エジプトで見つけたコインの運命

それは、発掘終了10分前のことだった。 僕の手にしていた金属探知機が反応した。 ピー、という音が鳴り響く。 何回かやっても、そこで鳴り響く。 靴のつま先で、軽く掘ってみた。 そして出てきたのがこれ。 石ではない。持ってみて、比重でそれとわかる。明らかに金属だ。 コイン、もしくはきれいな菱形をしているのでペンダントか何かかもしれない。 考古学者に見せてみた。 フランス人の彼は、そのブツをじっと見たあげく、僕の顔を見て言った。 「ムッシュー、これは発掘の正式メンバーではないあなたが見つけ、掘り出した。その上我々発掘隊の機材リストにはない金属探知機を使って見つけたものである。さらには発見した場所がエジプト政府に申請した正式な発掘現場の範囲外だ」 『はあ? 何を言ってるんだこのオヤジ……』 僕は訝しんだ。どう見てもこれは代打満塁逆転ホームラン的発見ではないか。 そして考古学者は言った。「よってこれは考古学的には何ら意味のないものである。しかしエジプトの国外に持ち出すことはできない。もし空港で見つかったらあなたはもう二度とこの国に入国できなくなるだろう」 「と、言いますと」おそるおそる僕は尋ねた。 「残念だが、捨てるしかない」 「えー!!!」頭の中が真っ白になった。 代打満塁サヨナラランニングホームランが、本塁でタッチアウトになったようなものである。 考古学者は僕からその金属を受け取ると、砂漠に向かって放り投げた。 考古学者があっさりと投げ捨てるようなものだから、たいした物ではなかったのかもしれない。でもあんまり悔しかったので、彼が放り投げる前にこうしてブツの写真を残した次第である。 僕がやはり何か「持ってる」ことは証明できたが、エジプトには負けた気がする。ショックが大きい。完敗だ。

CanonかSonyかそれが問題だ

今回はディレクターとはいえ自分で動画を回す必要に迫られカメラ は何を持っていくかちょっと悩んだ。 結局旅のパートナーとなったのはSONYα99。 最後までCanon5DMark3とどっちを持って行こうとかと迷ってい たのだが。 やはり決め手となったのは動画性能。 α99は動画撮影中に音声レベルメーターが表示されるのだ。これ は僕たちテレビのドキュメンタリー屋にとっては大きい。 つまり、ちゃんと音が録れているかリアルタイムで確認できる。 5DMark3はこれができないのである。動画はスチルの付属品 、という考えがベースにあるからだという。 しかしテレビ番組にとっては映像もさることながら音声はとても重 要なのだ。 さらに、これも音声性能に関わることだけど、内臓ステレオマイク が意外に性能がいい。 これだけでもちゃんと音が拾えている。5DMark3はマイクが モノクロで単なる小さな穴なのだ。 CMなどで5Dを使う時は音声は別の機材に収録するらしいがドキ ュメンタリーの現場では機材はなるべくコンパクトにいきたいから これは助かる。機材が少なくてすむ。それにマイクを装着する時間 もはぶくことができるではありませんか。 そしてバリアングルの液晶ファインダー。 ハイアングル、ローアン グルの撮影には欠かせない。それに角度を調節することにより、外 光がまぶしい時でもなんとか映像を確認しながら撮影できる。これ も5DMark3にはない性能だ。あちらは外光遮断のためにサー ドパーティ製の別売りファインダーをつけたりしないといけない。 あれがプロっぽくていいという人もいるだろうが僕にとっては鬱陶 しいことこの上ない。海外ロケで持ち物が増えるのは嫌なのだ。 出発前にここまできちんと考えたわけではないけれど、やっぱり何 となく使い慣れたα99が今回の旅の友となった。 レンズはカールツァイスの24~70F2.8をもっぱら使ってい る。 明るくてキレのいいレンズだ。動物などを狙うのでなければド キュメンタリーならこれ一本でなんとかいけてしまう。 更にバランス。最近はEマウントのα7Sなども使ってみたりする のだが、やはりこれぐらいのレンズを装着すると本体が軽すぎてバ ラン...

旅に出ると人生がちょっとだけ変わる

首都カイロでは爆弾テロがあったというが発掘は続けられた。 今日もなにも出なかった。 退屈といえば退屈な現場である。 しぜん、ものを考える時間が多くなる。 旅に出ると人生がちょっとだけ変わる。 これまで普通人では考えられないほど旅をしたから僕の本来の人生はだいぶ変わったことになる(と思う)。 今回の旅では、自分はいままで自分が思っていたような人間ではないんじゃないか、ということに気がついた。 それは何かといえば今は秘密だ。 でもそのうちに明らかにされることでしょう。 今日見つけたもの。 謎の足跡。 これはいったい何だろう。 この辺りには大型動物はいない筈なのだが…… 人をたぶらかすという妖怪〈猫また〉でもいるのかしら。 このエジプトの辺境に。

秘宝は見つかるか?

実はその「世界の果て」みたいな町の近くで新たな発掘が始まり、お宝が出る瞬間を見にはるばるエジプトまで来たわけだ。 その僥倖に立ち会えるのは…… きっと僕だけだ。

持っている男

「持っている」「持っている」とプロデューサーにおだてられ、僕は世界中いろんな所に出かけて行く。 今回はエジプト、ナイルデルタの誰も知らないといっていいような発掘現場。 宿舎のホテルから片道3時間の道のりだ。 現場にいるのは3時間ほど。 そしてまた3時間をかけてホテルに戻る。 何も出ない日は撮るものがない。 そういう毎日が続いている。 果たして僕は本当に「持っている」のか? そのことが今回試されている。(ま、どっちでもいいんだけどね)